管理職の役割とは
管理職の役割は主に3つ、 「業務の企画・遂行・改善」、「部下の育成」、「経営理念・ルールの浸透」です。他にも、目標管理、品質管理、スケジュール管理など、 業務に沿った具体的な仕事がありますが、 ここでは管理職の役割について、 なぜ役割を理解する必要があるのか、管理職の主な役割、ダメな管理職について紹介しています。
目標管理、コミュニケーション管理、PDCAサイクルを回す、という具体的な管理職の仕事については、 管理職の仕事 目標管理、 管理職の仕事 コミュニケーション管理、 管理職の仕事 PDCAサイクルの実行をご参照下さい。
なぜ3つの役割が管理職に重要なのか
役割とは、「期待される働き」です。言い換えると、管理職として、その利害関係者である「社長・役員・上司、部下、他部署、取引先、顧客、社会」から、 何を期待されているか、ということです。
これは管理職を取り巻く各利害関係者が、 何を期待しているかを整理することで、明確になります。
各利害関係者が管理職に期待すること
社内 | 経営者・役員・上司 |
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他部署 |
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部下 |
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社外 | 取引先 |
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顧客 |
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社会 |
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もっと他にあるかもしれませんが、 管理職は概ねこのようなことが期待されます。
つまり、これらの期待に答えることが管理職の役割であり、 整理すると以下の3つの役割が求められます。
業務の企画・遂行・改善
社内の経営層は元より、他部署、部下、取引先、顧客は、 常に新しいサービス、効率的な業務、よりよい品質、短納期、低価格など、 これまでとは異なるよりよいサービスを求めています。利害関係者のこれらの期待に答えるには、 管理職はこれまでの業務をただ単に踏襲するだけでなく、 常に新しい業務を企画・遂行・改善してゆかなければなりません。
それら経営層、部下、他部署、取引先、顧客、社会の期待に答えた結果、 競合他社に打ち勝ち、会社を維持・発展させることができます。
部下の育成
業務の企画・遂行・改善には、部下の協力・存在が不可欠です。管理職一人でできる仕事なら、管理職はいりません。
企画には、深い業務知識、顧客知識、業界環境、流行、発想などの企画力が、 遂行には、スピード、品質、業務の慣れ、などの実践力が、 改善には、よりよい方法への気付き、試行錯誤、目標意識などの改善力が必要とされ、 部下の能力を伸ばすことが、部署の成果を上げることにつながり、 しいてはそれが会社の成長へとつながります。
また、会社にとって最も頭が痛い問題のひとつは人材の流出です。
人を一人雇用する費用は、数百~数千万円が必要となるだけでなく、 それまでの知識も他社に流れてしまう恐れがあります。
そして、人材流出の理由で、最も高い理由は「成長機会」であり、 これは管理職から見ると部下の育成方針・手段の誤りと言うことができます。
そのため、会社の発展、金銭的損失という意図から、部下を育成する必要があります。
経営理念・ルールの浸透
会社は単に成長するだけでなく、自社の経営理念を体現する形で発展していきます。なぜなら、会社は経営理念を体現する集合体だからです。
そこにはルールや規律が存在し、 仕事の進め方、考え方、決定・判断基準など、 会社としての考え方、根底、根幹部分となります。
また、経営理念、ルールは業務遂行時だけでなく、 業務外においても、常に社員に遵守させる必要があります。
管理職は管理だけすれば良いのでは?
管理職は上記役割(「業務の企画・遂行・改善」、「部下の育成」、「経営理念・ルールの浸透」)を果たすのではなく、 単に「管理だけすれば良い」と考える人もいるかもしれません。しかし、普段意識することはほとんどないものの、 そもそも「管理」という語彙には「統制する」という意味以外に、 「円滑に運ぶよう工夫すること」や、「改良すること」が含まれます。
つまり、管理職の役割は「決められたルールを守る、守らせる」だけでなく、 「新しいルールを作り、会社を改良・発展させていく」こと、 さらに新しいルールの元となる「会社の考え方、基準、ルールを周知・徹底すること」だと言えます。
管理という意味から
- ある規準などから外れないよう、全体を統制すること。「品質を―する」「健康―」「―教育」
- 事が円滑に運ぶよう、事務を処理し、設備などを保存維持していくこと。
- 現状を維持し、また、その目的にそった範囲内で利用・改良などをはかること
管理職の誤った役割
会社や管理職によっては、誤った役割を信じて、業務を遂行する管理職もいます。以下、管理職の責務を放棄している悪い管理職の例を紹介しています。
放任主義
放任主義は管理職として失格です。放任主義は管理の仕事を一部でなく「完全に」放棄しています。
たまたま、あるいは、優秀な部下のおかげで、 成果は出ているかも知れませんが、 それは放任主義の管理職の成果ではありません。
放任主義だから、という理由で部下が自由に物事を行え、 のびのびと良い環境を作っていると本人は楽観的に考えるかもしれませんが、 何か物事が起こった場合や、新しい環境になった場合、管理職としてほとんど対応できません。
また、そもそも管理せずに成果がでる仕事なら管理職は不要です。
そして、残念ながらそのような偶然は長くは続きません。
プレイングマネージャー
役職や会社によってはプレイングマネージャーなる管理職も存在します。それは単に管理職の役割とプレイヤーの役割の両方を求められているだけで、 特に管理職としての役割や仕事の進め方が異なるわけではありません。
しかし、プレイングマネージャーの中には、 単に優秀なプレイヤーとして機能し、 プレイヤーとしての羨望から、人を惹きつけるものの、管理する意思がなく、 管理を放棄している場合があり、そのようなプレイングマネージャーは、 管理職としては失格です。
多くの企業では、 役職が上がるほど、 管理する内容が広がり、プレイヤーとしての時間は減る傾向にありますが、 プレイヤーに固執し過ぎると、管理手法が身につかないため、 後に後悔することとなるかもしれません。
名ばかり管理職
名ばかり管理職とは、会社が就労条件を逆手に取り、 残業手当の削減(管理職への残業代は不要)を目的として、対象者を管理職に就けることです。これは完全に会社側の違法行為であるため、本人に責任はありませんが、 管理職でもありません。
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